Character’s Details


〈狭間の羅針盤〉

〇スカイ

 パーティリーダー。

 各地で起きている、精霊にまつわる事件と遭遇するために「蒼空亭」で冒険者をしている。

 その身に精霊アルを宿しており、元々の自分の魔力と彼の魔力が融合した、異様な魔力を備えている。

 

 交易都市から遠く離れた、最果ての地の小さな村の出身。両親は生まれてすぐに他界しており、村の図書館の司書だった人の下で育てられたが、村は“崩壊”によって滅亡した。

 “崩壊”により生み出された次元の裂け目が世界を滅ぼそうとしたとき、彼女は村に伝わる魔術を発動し、それを食い止めようとした。結果として、術式は成功し、次元の裂け目を封じることはできたが、強大な魔術の反動で意識を失った際、最後の悪足掻きをした裂け目に、同じ術を発動していたアルと共に飲み込まれてしまう。このとき、身体を失った彼の精神をその身に宿すことになる。

 どうにか裂け目から脱出した後は、精霊王から事情を聞き、アルと共に人間界で精霊が引き起こす事件を食い止めるための旅に出る。やがて旅の中で出会った仲間達とパーティを組み、「狭間の羅針盤」のリーダーとして彼らと冒険をすることになる。

 

 彼女自身が元来持っていた魔力の性質は『創造』。この魔力とアルの持つ魔力が融合したことで、火や水といった自然エネルギーの力を武器として具現化する力を得た。

 また、この魔力のおかげで、通常ならば膨大な労力と魔力が必要なアルの実体化が容易なものとなっている。

 

 次元の裂け目に飲み込まれた際の衝撃で精神に瑕疵を負い、自己防衛本能の一部が欠落した。そのことで、痛みに鈍くなり(完全に無くなった訳ではない)、己の身を顧みない行動を容易く取るようになった。 現在は旅を経て冷静さを身につけたことでそのような行動はある程度控えられるようになっているが、仲間の危機とあらばすぐさま飛び出していってしまう。アルはそんな彼女のストッパー的存在でもある。

〇アル

 スカイに宿る精霊。パーティの参謀。

 “崩壊”が起きた以降は、スカイの魔力を喰らって実体化しており、相棒として彼女を支えている。

 

 精霊界の中央都市で、将来精霊王を支える臣下候補生としての教育を受けていた。

 精霊界でも珍しい、複数の属性の魔術を操ることのできる魔力の持ち主。並の技量では発動できない上位の魔術をも行使できる素質を備えていたことから、教官たちからも一目置かれていたが、本人にそのことをひけらかすような気は一切無く、黙々と勉学に励んでいた。

 スカイが次元の裂け目を封じる魔術を発動したとき、彼も精霊界から同じ術を発動し、世界の滅亡を食い止めたが、彼女同様、魔術の反動を受けて動けなくなった際に悪足掻きをした裂け目に飲み込まれてしまう。そのときの衝撃で身体を失い、精神だけの存在となって消滅しかけていたところ、同じ場所にいたスカイの身体に宿ることで消滅を免れた。その後は何とか裂け目から脱出し、以来、彼はスカイの相棒となって彼女と行動を共にしている。

 前述の経緯により、アルは己の存在そのものをスカイに依存する形になっており、彼女が命を落とせば彼も消滅する。

 

 

 精神に瑕疵を負ったせいで無茶しがちなスカイをたしなめる役回り。それはもちろん自分の命が惜しいということもあるが、純粋に彼女を心配しての行動である。故に彼女に害を為そうとする者には一切容赦しないが、どんなことをしてでも彼女を守ろうとするその様は、傍から見れば病的な恋にも等しく見える。ただし本人は、それは決して恋ではないのだときっぱり言い放っている。

 もっとも、参謀というポジションも相まって彼自身もそこそこ無茶をすることが多いのだが、自分の場合は緊急のときだけ、計算した上で仕方なくだと言って追求を躱している。

〇ヴィオラ

 交易都市の郊外に居を構える商人の娘。パーティのマスコット。

 明るく純粋なムードメーカーで、好奇心旺盛な快活娘。持ち前の腕力で剣を使いこなし、前衛を務める戦士枠でもある。

 

 祖先が縁を持っていたことから、彼女の一族には精霊と契約する術が伝えられていた。世界的な精霊信仰の衰退もあって近年その存在は失われつつあったが、彼女は生まれつき精霊との親和性があり、ある事件を追っていたスカイとアルに同行した際に素質を開花させ、冒険の中で風精と魔術契約を結ぶに至った。その後、まだ見ぬ世界への好奇心から冒険者になることを決心し、スカイとアルの初めての仲間になった。

 幼い頃の趣味は家の裏にある山の中を駆け回ることで、剣術の基本は、その山で出会った“師匠”に教わった。“師匠”が花が好きだった影響で、彼女も花が大好き。

 実は、その“師匠”こそが、かつてヴィオラの祖先と契約を交わした精霊である。“崩壊”の日を境に彼はヴィオラの前から姿を消したが、それは山に蔓延った悪霊や悪魔を討伐し、それらの魔の手から彼女を守るため。しかし、“崩壊”を期に増幅した負のエネルギーに耐えきれず、彼自身もその身を悪魔と化そうとしていた。寸でのところでスカイとアルに助けられた彼は、精霊界に帰ることとなったが、その際にヴィオラに正体を明かし、彼女に魔術を授けた。

 勉学はあまり得意ではなく、身体を動かす方が好き。同じくパーティの戦士枠であるゴルデとは良き脳筋仲間。

 精霊や悪魔堕ち途中の悪霊等は平気だが、幽霊だけは大の苦手。ネイディゴが死霊術を使ったときもしょっちゅう悲鳴を上げていたが、何度も助けられたこととダイアナに幽霊退治の依頼に連れ回されたことでその術だけは一応大丈夫になった。

〇ゴルデ

 地属性を司る悪魔。見た目は若いが人間換算で395歳。皮肉屋かつ脳筋な性格で、斧を振り回して戦うパーティの戦士枠。

 

 元々は精霊であり、かつては精霊界の地属性の精霊が集まる村で暮らしていたが、金髪碧眼の容姿が地属性の精霊に似つかないという理由で不当な扱いを受けていた。村を出て、属性関係なく様々な精霊が住まう中央都市へ行くことが夢だったが、それができるだけの資力も能力も無かった。それでも諦めずに努力はしていたが、村の同じ年頃の精霊に馬鹿にされた際に暴力を振るってしまい、契機とばかりに過大な懲罰を受けて精霊界を追放されてしまった。やがて流れ着いた人間界で、絶望に飲まれ、憎悪を撒き散らす悪魔に成り果てた。

 そうして化物じみた姿で人間界で暴れていたところを、スカイとアルに捕らえられ、現在は拘束術を掛けられている。傍から見れば普通の人間であり、悪魔であることから精霊と異なり一般人にも視認できる。

 前述の経験から、警戒心が強く、他人に心を開こうとしない。だが、自分のことを必要だと言い切ったスカイやパーティの面々には興味を抱き、彼らの行く末を見てみたいと思っている。

 

 長く生きていることや過去の経験もあって悟ったようなことを言ったりもするが、根は単純で直情的である。ヴィオラとは脳筋同士ウマが合う。己と真逆の性格であり、自分が行けなかった中央都市で学んでいたアルとは犬猿の仲だが、互いに実力は認めている。

〇ダイアナ

 交易都市から少々離れた町の、代々召喚士を輩出してきた貴族の令嬢。フルネームはダイアナ・ツィオーネ。あらゆる属性の精霊と契約できるほどの高い召喚士の才を秘めている。最も親和性が高いのは火属性で、その素質は最上位の火精と召喚契約を結べるほど。聖北教会の信徒の心得もある。

 

 幼い頃、召喚士の才に目をつけた盗賊共に誘拐されかけたことがあり、その際に無意識で火精との契約に成功したが、火精の魔術で焼き尽くされた辺りの光景と盗賊共の姿がトラウマとなり、以来、火精を呼び出すことに恐怖を抱いていた。しかし、スカイ達が彼女の屋敷を訪れたときに町で起きた事件の中で、スカイの後押しと町を守りたいというダイアナの強い意思がきっかけとなって火精を召喚。恐怖を克服することができた。

 事件の収束後、大切なものを守るための力を得たいということで冒険者になることを選択、スカイ達一行の仲間となった。

 口数少なくおしとやかだが、芯は強く、物怖じしない性格。言うときは案外ズバッと言うタイプである。町にいた頃は聖北教会の癒しの術を用いて怪我をした子供達の手当をすることも多かったため、町の子供達に慕われている。

 

 契約を交わした精霊以外にも、人ならざる者全般に好かれやすい。幽霊等に対しても、人でない存在に慣れているため驚いたりすることはない。あまりにも善悪問わず惹きつけすぎるため、悪しき者から身を守るために聖北教会の退魔の術を学ぶようネイディゴに勧められた。

 自分の知らないことを教えてくれたり、手助けしてくれるネイディゴのことは全面的に信頼している。幽霊が絡んだときのヴィオラの反応をちょっと面白いと思っており、ゴルデ曰く「Sっ気がある」とのこと。

〇ネイディゴ

 ダイアナの従兄にして付き人。スカイ達と出会い冒険者となることを選択したダイアナに付き添って自身も冒険者となった。ダイアナの家の血筋の影響で、水属性の精霊と親和性が高く、海に棲む波精と召喚契約を結んでいる。

 

 ダイアナの家系であるツィオーネ家の分家に生を受けるも、物心ついた頃に家が火事に見舞われ、家族と住む家を失った。両親の助けで1人生き延びたネイディゴは、それから15歳になって本家の者に発見されるまで、暗殺ギルドで術師として生きてきた。後方支援の魔術や解錠、鑑定といった盗賊技能、裏の人間との人脈は、この頃に培われたものである。

 15歳になってからは、保護される形で本家の屋敷で生活することになる。初めはそれまでの生活とは大きく異なる環境に慣れず、荒み気味だったが、屋敷の令嬢であるダイアナと出会い、精神的に助けられたことで、彼女を守りたいという思いが芽生えた。ダイアナが誘拐されて以来その思いは一層強くなり、必死になって努力した結果、ツィオーネ家の主人より彼女の付き人を任されるに至った。

 後方支援を得意とする魔術師であるが、前述の経緯からパーティの盗賊としての役割も担っており、密かに死霊術の心得もある。ただし、それを攻撃に用いることはせず、あくまで仲間を護るため、そして、生前の無念を晴らせないまま彷徨い続ける亡霊達の望みを叶えて救けるための手段としてのみ行使している。

 

 中性的な顔立ち故、しばしば女性と間違えられることもあるが、それも盗賊として動くのに何かと便利だということであまり気にしていない。

 アルとゴルデを除けばパーティの中で最年長であり、よきお兄さん的な立ち位置。パーティ加入当初はダイアナを護ることだけを考えていたが、仲間との絆を深めるうちに、彼らのことも護りたいと思うようになった。

 アルとは魔術を主軸にする者同士ウマが合う。彼がいないときはネイディゴが参謀代わり。